スタッフインタビュー その3  〜素焼き〜



山下陶苑についてもっと知るべく、山下陶苑で素焼きの詰み・下ろしを担当している佐藤さんにインタビューをしてみました。

普段は明朗という言葉が似合う佐藤さん。そんな佐藤さんが素焼きの詰み・下ろしをされているときの眼差しは真剣そのもの。
今回のインタビューでは、佐藤さんに、素焼きの詰み・下ろしの仕事内容や注意点、難しさや仕事に関わってみての感想についてお話を伺います。

素焼き1

※急須を詰み上げている様子です。


【素焼きの仕事内容】

――まず初めに、素焼きの仕事内容について教えてください。

佐藤 成形後の茶碗・コップ・土瓶・急須などの生地を重ねて詰み、詰み上げた生地は素焼き窯に入れます。
840℃で6時間半焼成した後、12時間冷却します。焼成後の生地は、窯から下ろして板に乗せ、種類別に棚にきれいに並べます。

素焼き2

※生地が接触しないように詰み上げられた茶碗です。


【感想】筆者は入社したての頃、素焼き専用の窯があることに驚きでした。
生地を本焼きする前に、一度素焼きをすると、生の生地よりも多少強くなるので、絵付けや釉掛けがしやすくなるそうです。
一度素焼きをすることで、器が壊れるリスクが抑えられるんですね。
また、生地の中の不純物を焼き飛ばすという効果もあるそうです。

素焼き3

※測り棒で素焼きの高さを測る様子です。高すぎると窯に入れることができません。


【仕事における注意点】

――素焼きの詰み・下ろしをする際に、気を付けること・注意することを教えてください。
佐藤 丁寧に重ねて、速く詰むことです。生地が接触しないように、間隔を置いて詰むことが大切になります。

※詰み上がった生地の様子です。


【感想】数の多い生地を、ぶつからないように、なおかつスピーディーに詰むことは難しい作業だと思いました。

素焼き5

※詰み上がった生地が素焼き窯に入る様子です。


【素焼きの詰み・下ろしの難しさ】

――素焼きの詰み・下ろしをするにあたって、難しいと思うことはありますか?

佐藤 生地の数をなるべく多く、できるだけたくさん窯に入るように詰むことです。
また、詰む内容も考えなければいけません。生産ラインに必要な生地を多く詰むようにしています。
対して、在庫が多くあるものは、多く詰まないようにしています。

※丁寧に外されていく土瓶です。


【感想】その時に必要なものを考えながら、なおかつ窯にたくさん入るように詰むことは、熟考しなければいけない大変な作業ですね。

※土瓶を下ろしている様子です。


【仕事に携わってみての感想】

――この仕事に携わってみての感想についてお聞かせください。

佐藤 私は高齢であるため、速く詰むことは体力のいる作業で大変です。
また、生地を傷つけないようにしたり、いらないものを詰んでいないか確認しながら、必要なものを詰んだりと、よく考えないといけない作業なので、難しさを感じます。

※下ろした素焼き生地を皿板に乗せ、棚まで運ぶ様子です。体力のいる作業になります。

【感想】素焼きを詰む、というシンプルな作業に見えますが、思慮を巡らせる必要がある難しい作業なんですね。
ここで焼きあがった素焼き生地がはわかれて、絵付け場へと回っていくため、生産ラインの起点のひとつとなる、大事なお仕事だと思いました。

※素焼き生地を乗せた皿板を棚におく様子です。山下陶苑には、たくさんの量の素焼き生地が出番を待っています。